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2021年度「第6回 保井コノ賞」選考結果報告

2022年2月18日更新

保井コノ賞選考委員会委員長
お茶の水女子大学 理学部長 小林 功佳

第6回保井コノ賞選考委員会は慎重に審議を行った結果、下記の者を保井コノ賞候補者として本学学長に推薦し、了承を得ました。
 「保井コノ賞」設立趣旨についてはこちらをご覧ください 

保井コノ賞

上田 晴子 氏
(甲南大学理工学部 准教授)

業績「植物の細胞内運動と器官運動の解析」

 上田氏は、細胞内小器官の一つである小胞体の複雑なネットワーク構造形成に関わる分子機構の解明に取り組んで参りました。特に、小胞体とミオシンモータ分子と細胞骨格アクチン分子の3者の相互作用による運動を発見し、「小胞体運動の3者モデル」を提唱し、この業績は、植物細胞内の原形質流動の長年の謎に迫る発見として、高く評価されております。さらに、上田氏は、ミオシンモータによる植物の姿勢制御機構を発見しました。これは、植物が重力や光を感知して曲がることを抑えて真直ぐに戻そうとするブレーキの仕組みを初めて明らかにしたものです。これらの研究から、上田氏は、独自の路線をひきながら、新しい目標に向かっていくチャレンジ精神と着想力に優れていると言えます。
 以上のことから、本選考委員会は、上田氏の顕著な業績は保井コノ賞を授賞するに相応しいものであると判断しました。

佐藤 香枝 氏
(日本女子大学理学部 教授)

業績「革新的バイオ?マイクロナノデバイス開発と生命科学分野への応用」

 佐藤氏は、生命科学研究の発展に貢献する新しいアッセイ技術の開発を目的として、微細加工技術で作成したマイクロ?ナノデバイスを用いた心血管系モデルの構築およびDNA分析法の開発に関する研究を行い、大きな成果をあげました。佐藤氏の心血管系モデル構築の研究は、世界に先駆けた研究であり、新分野の開拓として高く評価されております。また、DNA分析法の開発研究では、従来よりも簡便で迅速、高感度な分析方法の開発に成功しました。これらの研究は新たな医療につながり、広く生命科学分野の発展に貢献するものとして高く評価され、多くの賞を受賞しております。佐藤氏は、学会活動にも積極的であり、また、これまでに多くの女子学生を指導するなど、若手の育成にも大きく貢献して参りました。
 以上のことから、本選考委員会は、佐藤氏の顕著な業績は保井コノ賞を授賞するに相応しいものであると判断しました。

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